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SIGNAL 政治
No.0187

ポータブル電源、防災グッズとして買った人が損してる

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出典:ZDNet

UPS(無停電電源装置)という機器が企業のサーバールームに普及し始めたのは1980年代のことだ。停電の瞬間にコンピューターが落ちると、データが消え、業務が止まる。その損失を防ぐために、バッテリーを内蔵した電源装置を常時はさんでおく発想は、当時の企業にとって当然の投資だった。ところが家庭にそれを置く人間はほとんどいなかった。「家のパソコンが落ちても、まあ許容範囲」という感覚が、UPSを家庭から遠ざけ続けた。

その感覚が、今の時代にそのまま通用するかどうかは怪しい。

在宅ワークが常態化し、Wi-Fi接続が途絶えた瞬間にビデオ会議が落ちる。冷蔵庫の中の食材は、停電が数時間続けば本格的なロスになる。防犯カメラは、停電という最も警戒すべきタイミングにこそ電源を失う。住環境が「止まると困るもの」に満ちてきた結果、家庭と企業のサーバールームの間にあった感覚的な距離は、実態として消えつつある。

そのギャップを埋めるツールとして浮上してきたのが、ポータブル電源だ。

もともとポータブル電源はキャンプや防災需要を主なターゲットに普及した。緊急時の備えとして購入され、押し入れにしまわれ、数年おきに「充電しておかないと」と思い出される。そういう扱いをされてきた機器の代表格だった。バックアップという位置づけが、逆に日常から遠ざける理由になっていた。

ところが常時接続という使い方に切り替えると、この機器の性格が変わる。停電が来るかどうかわからない状態で待機させるのではなく、毎日の電源供給の一部として組み込む。そうすることで、停電が来た瞬間に「つなぎ忘れ」も「充電切れ」も発生しない。緊急時専用の道具は、いざというときに使えないことが多い。日常的に使っている道具は、いざというときにも使えている。

UPSとして機能させるうえで、特に常時接続の効果が高い機器として挙げられているのが3種類ある。モデムとWi-Fiルーター、冷蔵庫、そしてセキュリティカメラシステムだ。いずれも、停電が発生したまさにそのタイミングに動いていてほしいという共通点を持つ。

防災グッズとしての文脈で語られてきたポータブル電源が、日常インフラとしての文脈で語られ始めている。購入はしたが使っていない、という人間にとっては、運用の再設計だけで手元の機器の価値が変わる話でもある。


3行まとめ

  • ポータブル電源は緊急時専用ではなく、日常的にUPSとして常時接続する使い方が有効とされている
  • 常時接続に適した機器として、モデム・ルーター、冷蔵庫、セキュリティカメラ・システムの3種類が挙げられている
  • 常時接続にしておくことで、停電発生時の充電切れや接続不備といったトラブルをあらかじめ防げる

※以下は詳細

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Wi-Fiルーター:停電してもネットが落ちない

最初に常時接続が推奨されているのが、モデムとWi-Fiルーターだ。停電が発生した瞬間、多くの家庭でインターネット接続が途絶える。ルーターへの給電をポータブル電源で行っていれば、外部回線が生きている限りネット接続はそのまま維持される。

在宅ワーク中の停電でも回線を保ち続けられる点に加え、停電時はモバイルネットワークへの集中によって速度が低下しやすいため、自宅Wi-Fiを維持できることの実用的な価値は大きい。モデムとルーターは消費電力が小さく、小容量のポータブル電源でも数日間の給電が可能とされている。

冷蔵庫:食材ロスを防ぐ

2つ目に挙げられているのが冷蔵庫だ。現代の冷蔵庫は1日あたり1〜2kWh程度と消費電力は比較的小さく、停電時の食材ロスを防ぐためにポータブル電源への接続が有効とされている。

接続する際は事前のスペック確認が重要で、通常稼働時の消費電力は100〜300Wが一般的だが、起動時には600〜1,500Wの突入電流が発生するケースがある。容量に余裕を持たせた電源ステーションを選ぶことが推奨されている。

セキュリティカメラ・システム:停電中も監視を継続する

3つ目はセキュリティカメラおよびそのシステムだ。停電は防犯カメラを最も動かし続けたいタイミングでもある。嵐による被害の確認や家族の安否確認など、停電中にこそカメラの必要性が高まる場面は多い。

システムによっては一定時間のバックアップ機能を内蔵しているものもあるが、ネットワークが落ちれば接続は途絶える。カメラ本体だけでなく、ハブやベースステーション、有線カメラ向けのPoEスイッチ、NVRなど、システム全体を動かすために必要な機器をまとめてポータブル電源でバックアップすることが重要とされている。

全体まとめ

ポータブル電源は緊急時専用として扱われることが多いが、モデム・ルーター、冷蔵庫、セキュリティカメラ・システムの3種類を常時接続することで、UPSと同様の役割を日常的に担わせることができる。停電発生時の充電不足や接続不備といった想定外のトラブルを防ぐうえでも、常時接続の運用が有効とされている。冷蔵庫を接続する際は突入電流への対応として容量に余裕のある機種を選ぶ必要があり、セキュリティシステムはカメラ単体ではなくシステム全体をバックアップ対象とすることが推奨されている。

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