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No.0190

GoogleがAIモデルを一気に小型・低コスト化してきた

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出典:Google DeepMind Blog

AIの競争史を振り返ると、最初の数年間は「性能の頂点を取る」ゲームだった。OpenAIがGPT-4を出し、Googleがそれに応じ、Anthropicが続く。ベンチマークの数字が報道され、どのモデルが最も賢いかが毎月話題になった。研究者と大企業の専有物だったAIが、API経由で開発者に届くようになっても、基本的な構図は変わらなかった。大きく、高く、賢く——それがAI競争の主戦場だった。

その軸が、静止することなくずれ始めている。

いま問われているのは「最高性能」ではなく「どこまでコストを下げられるか」だ。APIの呼び出しコストが下がり、モデルがデバイス上で動き始め、推論の速度が体験の質を決めるようになった。開発者が選ぶモデルの基準は、ベンチマークの順位よりも「1000リクエストあたりいくらか」「レイテンシは何秒か」に移っている。

Googleが今回、画像生成モデル「Nano Banana 2 Lite」と動画生成・編集モデル「Gemini Omni Flash」を同時に発表したのは、この流れの中に置くと意味が鮮明になる。

片方は1K画像あたり0.034ドル、テキストから画像を4秒で生成する。もう片方は自然言語で動画を編集でき、画像・テキスト・動画をまとめて入力として受け付ける。どちらも「賢さの極限」ではなく「速さと安さの実用域」を狙ったモデルだ。

この2つを同時に出してきたことの意味は、Googleが画像から動画まで一本のワークフローとして提供しようとしているという点にある。静止画を生成し、それを動画に変換し、自然言語で調整する——その全工程を、コストを抑えながら開発者が自前で組み立てられる環境を整えた。

誰が得をするかは明確だ。大規模なクラウド予算を持たないスタートアップや個人開発者が、画像・動画生成を組み込んだプロダクトを現実的なコストで作れるようになる。一方で、高コストの前提でプロダクトを設計していた既存のパイプラインには、再設計の圧力がかかる。

AIの歴史を見ると、性能競争の後に必ずコスト競争が来る。そのフェーズに入ったとき、市場の参加者数は急増し、ユースケースの幅が一気に広がる。Googleが今動かしているのは、そのフェーズへの入口だ。


3行まとめ

  • GoogleがNano Banana 2 Liteを発表。Geminiイメージモデルファミリー中で最速・最低コスト(1K画像あたり0.034ドル、生成時間4秒)で、Google AI StudioおよびGemini APIで提供開始
  • 動画生成・会話型編集モデル「Gemini Omni Flash」がGemini APIおよびGoogle AI Studioで開発者向けに提供開始。価格は動画出力1秒あたり0.10ドル
  • 両モデルを組み合わせることで、画像生成から動画制作まで一貫したマルチメディアワークフローを構築できる

※以下は詳細

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高速・低コストの画像生成モデル「Nano Banana 2 Lite」

Nano Banana 2 Liteは、GoogleのNano Bananaファミリーの中で最速・最もコスト効率に優れた画像生成モデルです。Google AI Studio、Gemini API、Gemini Enterprise Agent Platformで提供が始まり、AI Mode in SearchやGeminiアプリなどコンシューマー向けサービスにも展開されています。

主な仕様は以下の通りです。

レイテンシ:テキストから画像を4秒で生成。インタラクティブなプロトタイピングや高速な視覚的ドラフト作成に適しています
コスト:1K画像あたり0.034ドル。大量処理や予算管理を重視する開発者向けの水準です

速度を優先しながら、プロンプトへの忠実性・キャラクターの一貫性・画像内テキストの読みやすさも維持されています。

Googleは現行の第1世代Nano Banana(gemini-2.5-flash-image)を利用中の開発者に対し、Nano Banana 2 Liteへの移行を推奨しています。

Nano Bananaファミリーの全体像

現在提供されているNano Bananaファミリーのラインナップは次の通りです。

Nano Banana 2 Lite(Gemini 3.1 Flash Lite Image):速度重視。超低レイテンシが求められるリアルタイム・大量処理ワークフロー向け
Nano Banana 2(Gemini 3.1 Flash Image):汎用モデル。パフォーマンスとコストのバランスが最も優れたモデルとして位置づけられています
Nano Banana Pro(Gemini 3 Pro Image):複雑・専門的なユースケース向け。精度が速度より重要なタスクに対応
Nano Banana(Gemini 2.5 Flash Image):レガシーモデル。より高品質・高速・低コストなNano Banana 2 Liteへのアップグレードが推奨されています

動画生成・編集モデル「Gemini Omni Flash」の提供開始

Gemini Omni Flash(gemini-omni-flash-preview)は、Google I/Oで発表されたモデルで、今回初めてGemini APIおよびGoogle AI Studioを通じて開発者向けに提供が開始されました。テキスト・画像・動画の組み合わせを入力として受け付け、高品質な動画生成と会話型編集をネイティブにサポートします。価格は動画出力1秒あたり0.10ドルで、Veo 3.1 Fastと同じ水準です。

主な機能は以下の通りです。

会話型動画編集:自然言語を使って動画を編集・調整できます
マルチモーダル参照:画像・テキスト・動画を組み合わせてシーンの一貫性を維持できます
実世界の知識との統合:Geminiが持つ歴史・生物学・物語構成などの知識を活用して動画を生成します
テキストとアクションの同期:シンプルなプロンプトで、テキストやグラフィックを動画のアクションに直接連携できます

現時点での制限事項:動画生成は最大10秒まで(より長い尺は今後対応予定)。音声参照のアップロードとシーン拡張はGemini APIでは未対応。3秒以内の動画参照はAPIスキーマでは受け付けるが現時点では正常に処理されません。シーン転換やパン移動時のキャラクター一貫性にも制限があります。

両モデルを組み合わせて使う

GoogleはNano Banana 2 LiteとGemini Omni Flashを組み合わせることで、画像生成から動画制作まで一貫したエンドツーエンドのマルチメディア体験を構築できるとしています。Interactions APIを使うことで、最大3回の連続編集にわたってセッション履歴とコンテキストを維持できます。

両モデルの組み合わせを確認できるデモアプリも提供されています。

Anywhere:自撮り写真やアップロード画像をNano Banana 2 Liteで世界各地の有名スポットに合成し、Omni Flashで動画化するデモアプリ
Space Lift:部屋の写真をアップロードするとNano Banana 2 LiteとGemini Omniがデザイン案を生成し、Omniで動画化できるインテリアデザインデモアプリ
Omni product studio:Nano Banana 2 Liteで生成した静止画をGemini OmniによるEコマース向け動画に変換するデモアプリ

全体まとめ

GoogleはAI開発者向けに、最速・最もコスト効率の高い画像生成モデル「Nano Banana 2 Lite」と、動画生成・会話型編集モデル「Gemini Omni Flash」を同時に発表しました。どちらもGoogle AI StudioおよびGemini APIで即時利用できる形で公開されており、両モデルを組み合わせることで画像生成から動画制作までを一貫して構築できるワークフローが提供されています。Interactions APIによるセッション管理や、3種のデモアプリも合わせて公開されています。

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