0211
SIGNAL 経営
No.0211

MicrosoftがOpenAIとAnthropicを自社モデルで置き換えにいっている

ADVERTISEMENT

出典:SiliconAngle

2023年、MicrosoftはOpenAIに100億ドルを追加出資した。ChatGPTの衝撃が冷めやらぬなか、世界最大級のテック企業が「自分たちはAIを作る側ではなく、使う側に徹する」という賭けに出た瞬間だった。Googleへの対抗、Bing復権、Copilot展開——その全ての戦略はOpenAIのモデルを借りることを前提として組まれていた。

その前提が、今崩れつつある。

MicrosoftがOpenAIおよびAnthropicの上位モデルから、自社開発モデル「MAI(Microsoft AI)」への切り替えを加速させているという報道が出た。ExcelやOutlookといった主力製品で、これまで外部モデルが処理していたプロンプトがMAIに移行し始めているという。

ここで見落としてはならないのは、Microsoftがこの移行をパフォーマンスへの自信から進めているわけではない点だ。Microsoft AI CEOのMustafa Suleiman氏は公式の場で「MAIは他の最先端モデルほど高度ではない」と認めている。それでも切り替える。理由はコストだ。

AIの推論コストは、利用が拡大するほどかさむ。月間数百万件のプロンプトを処理するCopilotのようなプロダクトにとって、1クエリあたりのコストの差は積み上がると巨額になる。Suleiman氏はBloombergのインタビューで「Anthropicは非常に高価で、最終的にそのコストをゼロにすることが目標だ」とまで言い切った。

この発言は、産業の転換点を示している。2022年から2024年にかけて、企業のAI導入競争は「どれだけ賢いモデルを使うか」が評価軸だった。ChatGPT-4やClaudeを使っているという事実自体がブランドになり、先進性のシグナルになった。しかし2025年を過ぎ、AIが業務インフラとして定着し始めると、評価軸は変わってくる。「コストに見合っているか」「自社で内製できないか」という問いが経営レベルで浮上する。

Microsoftはその問いに、他社より一歩早く動いた企業だ。OpenAIとの契約は2032年まで続き、Anthropicとも連携を維持している。完全な決別ではない。ただ、「使えるところから自社に戻す」という方向性は、ベンダーロックインを自ら解きにいく動きと見てよい。

同じ動きはMicrosoft固有の話ではない。Amazon、Accenture、Meta、Uberでも、AIコスト削減を目的とした内製・切り替えの動きが相次いで報じられている。AIの「使い始め」から「最適化」へと、企業のフェーズが移行しているということだ。高性能モデルを使うことが自己目的化していた時代は、静かに終わりを告げている。


3行まとめ

  • MicrosoftがOpenAIとAnthropicの高性能モデルから自社モデル「MAI」への移行を進めていると報じられた
  • Microsoft AI CEOのMustafa Suleiman氏は「Anthropicのコストを最終的にゼロにすることが目標」と発言している
  • MAIは「他の最先端AIほど高度ではない」とMicrosoft自身が認めているが、ExcelやOutlookでの切り替えはすでに始まっている

※以下は詳細

ADVERTISEMENT

コスト増加がOpenAI・Anthropicからの離脱を加速させた

MicrosoftはOpenAIおよびAnthropicの上位モデルのコスト増加を懸念し、自社のMAIファミリーへの移行を進めていると報じられた。ExcelやOutlookなどのプラットフォームで、以前は外部モデルが処理していた「数万件のプロンプト」が、現在はMAIモデルで処理されているという。

Microsoft AI CEOのMustafa Suleiman氏はBloombergのインタビューで、「Anthropicは非常に高価で、多くの人が代替を急いで探していると思う。我々はAnthropicに多くの費用を支払っており、最終的にそのコストを削減・解消することが目標だ」と述べた。

OpenAIとの契約関係はどうなっているか

MicrosoftはOpenAIのモデルについてはAnthropicより大幅に割引された価格でアクセスできる立場にある。ただしコストは利用量に応じて積み上がる。MicrosoftとOpenAIの契約は2032年に失効する予定であることも、今回の報道の文脈で注目されている。

MAIへの移行範囲と性能の現在地

MAIへの移行は現時点ではMicrosoft全体のAI利用のごく一部にとどまっており、Microsoft Copilotは毎週数百万件のプロンプトを処理し続けている。MAIファミリーには推論モデル「MAI-Thinking 1」のほか、画像生成・文字起こし・音声認識・コーディングに特化したモデルが含まれる。MAI-Thinking 1はブラインドテストでAnthropicのClaude Opus 4.6のコーディング能力に匹敵する結果を示したとされる。

全体まとめ

MicrosoftがOpenAIとAnthropicへの依存を縮小し、自社モデルMAIへの移行を進めているという報道が出た。Microsoft AI CEOはAnthropicのコスト削減を明言しており、ExcelやOutlookなどの主力製品での切り替えがすでに始まっているとされる。MAI自体について「他の最先端モデルほど高度ではない」とMicrosoft自身が認める中での移行であり、性能よりもコスト管理を優先する判断となっている。同様のAIコスト削減の動きはAmazon、Accenture、Meta、Uberなど他の大手企業でも報じられている。

ADVERTISEMENT
NEXT READS
SIGNALへ戻る
— END OF ARTICLE —
SIGNAL