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SIGNAL 経営
No.0344

Google DeepMindがA24を選んだのは映画業界の話じゃなかった

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出典:Google DeepMind Blog

1990年代後半、DreamWorksがSGIのコンピューターグラフィクスを映画制作に持ち込んだとき、業界の反応は「道具が変わった」だった。3DCGは確かに映像表現を変えたが、「何を作るか」「誰の物語を語るか」という核心部分には、テクノロジーは届かなかった。CGを使いこなせるスタジオと使えないスタジオの差は生まれたが、それはあくまでも制作能力の差であり、感性の差ではなかった。

今回の動きは、その構図と少し異なる。

Google DeepMindがリサーチパートナーとして選んだのは、NetflixでもWarner Bros.でもDisneyでもなく、A24だった。「ミッドサマー」「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」「aftersun」を世に出したインディペンデントの旗手。大手スタジオが採算上の理由で手を出せない、あるいは出したくない領域に踏み込み続けてきたスタジオだ。

テクノロジー企業がエンタメ業界と組む際、通常は「スケール」が選定基準になる。市場規模が大きいほど、技術の波及効果が高くなるからだ。その論理に従えば、DeepMindが選ぶべき相手はA24ではない。

だとすれば、なぜA24なのか。

答えは提携の名称にある。これは「ツール導入」でも「業務効率化」でもなく、「リサーチパートナーシップ」だ。A24の映画作家たちがDeepMindの研究に直接フィードバックと指針を与え、技術の方向性そのものを形成していく役割を担う。DeepMindにとってA24は顧客ではなく、研究の共同設計者という位置づけだ。

ここに、このパートナーシップの核心がある。AIが「創造性」を学ぼうとするとき、最も尖ったクリエイティブの現場こそが最良の訓練環境になる、という判断だ。量より質、規模より密度。DeepMindが求めているのは、AIと創造的プロセスの境界線がどこにあるのか、あるいはないのか、を探るための実験場だ。

テクノロジー企業がクリエイティブ産業に接近するたびに繰り返されてきたパターンがある。最初は「補助ツール」として入り込み、次第に制作の中枢に近づいていく。ただし今回は最初から「研究」として入り込んでいる点が、過去の事例と一線を画している。

誰が得をするかは、まだ見えない段階だ。ただ、AIが「人間の感性」をどこまで内面化できるかという問いに、世界で最も実験的な映画制作集団が答えを出す役割を引き受けたことは確かだ。


3行まとめ

  • Google DeepMindとA24が、自ら「初の種類」と銘打ったリサーチパートナーシップの開始を発表した
  • A24の映画作家たちがDeepMindの研究に実践的なフィードバックと指針を提供し、アーティストが新しいワークフローや技術の開発に関わる形での協働が想定されている
  • Googleはこの発表にあわせて、A24への投資も実施した

※以下は詳細

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前例のない組み合わせ

Google DeepMindとA24は、複数のプロジェクトにわたる深い研究開発の協働を通じて、AIと創造的なプロセスの関係を共同で探ると発表した。両者はこの取り組みを「初の種類のリサーチパートナーシップ」と位置づけている。

A24は業界内で最もクリエイター重視のスタジオとして知られており、Google DeepMindのイノベーションを創造的プロセスの中に直接組み込むことで、映画作家たちが自らのビジョンに沿った技術の形成に関わり、ストーリーテリングの可能性を広げることを目指す。

ツール導入ではなくリサーチとしての協働

この提携が制作ツールの単純な導入と異なるのは、A24の映画作家たちがDeepMindの研究に実践的なフィードバックと指針を提供するという役割を担っている点だ。両者が並走しながらテスト・改善・構築を進めていく形が想定されている。

具体的なプロジェクトの内容については、技術的な成果や創造的なマイルストーンも含めて、時間をかけて進化していくものとされており、現時点では詳細は公開されていない。

最先端技術と次世代エンタテインメントの溝を埋める

この提携の当初の焦点は、最先端技術と次世代エンタテインメントの間にある溝を埋めることとされている。A24とDeepMindの研究者たちが協力することで、エンタテインメントの未来において可能なことを広げていくことをパートナーシップの目標に掲げている。

全体まとめ

Google DeepMindとA24によるリサーチパートナーシップは、世界トップクラスの研究機関と業界内で最もクリエイター重視のスタジオによる、初の種類の取り組みとして発表された。A24の映画作家たちがDeepMindの研究に直接フィードバックを提供し、技術の形成に関わる形での協働が想定されている。Googleはあわせて、この発表にともないA24への投資も実施した。

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