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SIGNAL 経営
No.0502

KlaviyoがDrift創業者を会社ごと買収してCPOに据えた件

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出典:TechCrunch

SaaSプロダクトにとって、AIエージェントの実装は今や「あれば便利な機能」ではなくなった。主力製品の競争力そのものを左右する、プロダクト戦略の中核に入ってきている。そしてその開発を誰が率いるかが、製品の行方を決める局面に入りつつある。

2000年代後半、B2Bソフトウェアの世界でCRMが普及したとき、プロダクト機能の差別化は「どれだけ多くのデータを取れるか」にあった。2010年代、マーケティングオートメーションが台頭すると軸は「どれだけ精度の高いタイミングで顧客に届けるか」に移った。そして今、AIエージェントの登場によって競争軸は「どれだけ自律的に動けるか」に変わろうとしている。

この変化を最前線で体験している人間に開発を委ねたいなら、スタートアップ市場で探すのが最も速い。大企業が優秀なプロダクトリーダーを採用するとき、かつては人材市場を通じるのが定石だった。しかし人材ではなく「実績ごと連れてくる」という手法が、ここ数年で再び注目されている。いわゆるアクハイアの発展形だが、今回のKlaviyoの動きはそれより一歩踏み込んでいる。

Klaviyoが買収したのは、シリアルアントレプレナーのElias Torresが立ち上げたエージェンシー「Agency」だ。TorresはかつてB2Bチャットボット市場を切り拓いたDriftの共同創業者であり、同社をVista Equityに12億ドルで売却した人物でもある。そのTorresが次に打ったのがAI関連のスタートアップで、Sequoiaらから3,200万ドルを調達していた。

Klaviyoはそのチームを25人ごと引き受け、TorresをCPO(最高製品責任者)として迎えた。ただの人材確保ではない。既に走っているAIエージェント製品「Composer」「Customer Agent」の開発を加速させるために、実戦経験のある組織単位を内部に取り込んだわけだ。

この話には背景がある。KlaviyoのCEO Andrew Bialeckiは、2010年代初頭にTorresが立ち上げたスタートアップPerformableで初期エンジニアとして採用された人物だ。Klaviyoの最初の外部資金調達ではTorresがエンジェル投資家として参加している。単なる買収とリクルートではなく、十数年にわたるキャリアの交差点で起きた再合流でもある。

誰が得をするかは、この構図を見れば読める。Klaviyoは競合との差別化を急ぐ局面でプロダクト開発の責任者を即戦力で獲得できた。TorresはスタートアップのCEOとして次のイグジットを狙う立場から、20万社以上にリーチする既存プラットフォームの上でAIエージェントを大規模展開する立場に移った。チームの25人も、リソースと顧客基盤を持つ環境での開発継続が可能になった。

スタートアップが「出口」としてIPOや大型買収を目指す時代が長く続いたが、今は別のパターンが増えている。大手SaaS企業のAI開発部門として取り込まれ、そのプラットフォームの上で実装を進めることが、AIエージェント領域での「勝ち筋」として機能し始めている。今回の買収は、その一例として記録される可能性がある。


3行まとめ

  • KlaviyoがElias Torresのエージェンシー「Agency」を買収し、TorresをCPOとして迎えた
  • TorresはDriftの共同創業者で、DriftはVista Equityに12億ドルで売却された経歴を持つシリアルアントレプレナー
  • TorresはAgencyの25人チームとともにKlaviyoのAIエージェント製品「Composer」「Customer Agent」の開発・拡張を統括する

※以下は詳細

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Elias Torresとはどんな人物か

Elias TorresはDriftの共同創業者として知られる起業家です。DriftはB2Bマーケティング領域においてチャットボットやリアルタイムコミュニケーション機能を普及させたプラットフォームで、2021年にVista Equityに12億ドルで買収されました。その後TorresはDriftを離れ、2023年にAI関連スタートアップ「Agency」を設立。SequoiaやMenlo Ventures、Felicisなどの投資家から3,200万ドルを調達していました。今回はそのAgencyごとKlaviyoに買収された形となります。買収金額は非公開です。

TorresとKlaviyo共同創業者・CEOのAndrew Bialeckiは旧知の関係にあります。2010年、TorresはBialeckiをPerformable(2011年にHubSpotに買収)の初期エンジニアとして採用しました。その後BialeckiがKlaviyoを立ち上げ、2015年の最初の外部資金調達の際にはTorresがエンジェル投資家として参加しています。

KlaviyoのAIエージェント製品

Klaviyoはメール・SMSを中心としたEコマース向けマーケティング自動化プラットフォームで、2023年9月に92億ドルの評価額でIPOを実現しています。現在、AIエージェント製品として「Composer」と「Customer Agent」の2つを展開しています。Composerはマーケティングキャンペーンの構築を自動化するエージェントで、Customer Agentは返品・注文追跡などの購買後サポートを担当します。TorresはAgencyの25人チームとともにこれら2製品の開発・拡張を主導します。

買収によるCPO獲得という手法

今回の買収でKlaviyoはプロダクト責任者をスタートアップごと取り込むアプローチを取りました。KlaviyoのCEO Bialeckiは「200,000社のビジネスに、そして今後数年でさらに数百万社にエージェントを届けたい」と述べています。また「クラウド時代の始まりに一緒に働いたように、エージェントというBig Techの次の革命をともに築きたい」とも語っています。TechCrunchはこの再合流を「フルサークル」と表現しています。

全体まとめ

KlaviyoがElias Torresのエージェンシー「Agency」を買収し、TorresをCPOとしてAIエージェント開発の責任者に据えました。TorresはAgencyの25人チームとともにKlaviyoに合流し、既存のAIエージェント製品ComposerおよびCustomer Agentの開発・拡張を主導します。TorresとKlaviyo CEOのBialeckiは2010年代初頭からキャリアが交差しており、Bialeckiは「エージェントというBig Techの次の革命をともに築きたい」とコメントしています。買収金額は非公開で、AgencyはIPO前にSequoiaらから累計3,200万ドルを調達していました。

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