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No.0745

Googleが地球の森を10mメッシュで全種類ラベリングした件

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出典:Google DeepMind Blog

森林破壊の話題が出るたびに、衛星画像が引用される。緑が消えた場所、茶色くなった土地、数字で示される消失面積。ところが、その「緑」の中身については長らく誰も正確に答えられなかった。

1970年代、ランドサット衛星が宇宙から地表を撮影し始めたとき、人類が手にしたのは「地球の緑を俯瞰する目」だった。以来、衛星データは精度を上げ続け、今では10メートル単位の解像度で地表を把握できる時代になった。だが精度が上がっても、データが答えてきた問いは一貫して同じだった。「そこに木があるか、ないか」。

その問いの立て方自体が、気候変動対策の意思決定に歪みをもたらしてきた。

熱帯原生林が持つ炭素固定量と、単一樹種を植えたプランテーションのそれは、桁が違う。原生林は数百年かけて積み上げた生態系を持ち、絶滅危惧種の生息地にもなる。一方のプランテーションは農業と限りなく近い存在で、伐採・植え替えを繰り返す経済的資産だ。ところが従来のグローバル森林データは、この両者を「木がある土地」として同じ括りに入れてきた。政策立案者が炭素削減目標を計算するとき、保全団体が資金の投入先を決めるとき、その計算の土台は実態とずれたデータの上に成り立っていた。

Googleが今回やったのは、その土台を作り直すことだ。

Google DeepMindとGoogle Researchは、世界資源研究所(WRI)と国際応用システム分析研究所(IASA)と共同で、地球上のあらゆる土地を10メートル単位でスキャンし、6種類の森林・土地利用タイプに分類したグローバルマップ「ForTy 2020」を公開した。「木があるかどうか」ではなく、「それがどんな木で、どんな森か」を識別する地図だ。

精度の話をすると、学習に使ったラベル付きデータは170万か所。9,000か所以上の無作為抽出サイトで検証し、森林タイプの正解率は90%、森林と非森林の判別精度は95%を記録した。既存のグローバル森林マップを上回る数字だ。しかもスナップショットではなく、2017年から2025年までの時系列データも合わせて公開されており、どの森がどのタイプに変化したかを年単位で追うことができる。

データはGoogle Earth Engine上でオープンライセンスで公開されている。使うのは政府でも企業でも保全団体でも研究者でもいい。EU森林破壊規制への対応、森林保全ファイナンスの投資先特定、国家レベルの炭素会計。これまで「木があるかどうか」しかわからなかった場面で、「どんな森か」という問いに答えられるデータが、初めて世界規模で手に入ることになる。

衛星が地球の緑を見られるようになってから半世紀。ようやく、見える情報の質が変わった。


3行まとめ

  • Google DeepMindとGoogle Researchは、WRI・IIASAと共同で、地球上の土地を10メートル単位で6種類の森林・土地利用タイプに分類したグローバルマップ「ForTy 2020」を公開した。
  • 分類カテゴリは原生林・自然再生林・植林・プランテーション・樹木作物・その他土地の6種類で、森林タイプの正解率90%・森林と非森林の判別精度95%を記録し、既存の他グローバル森林マップを上回った。
  • 2017年から2025年の年次変化を追う時系列データも同時公開されており、Google Earth Engine上でオープンライセンスで誰でも利用できる。

※以下は詳細

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従来の森林マップが「木があるかどうか」しか答えられなかった理由

これまでのグローバル森林モニタリングは、「樹木被覆率」を主な指標として管理されてきました。ある土地に木が存在するかどうかを面積で把握する手法です。

この方法では、生態系の価値や炭素固定量において大きな差がある森林タイプの違いを識別できません。原生林・自然再生林・植林地・プランテーションは、衛星画像上では同じ「緑」に見えても、その内実はまったく異なります。森林に関する意思決定や政策立案の多くが、この粗い粒度のデータを前提に行われてきました。

10mメッシュ×6分類で何が変わるか

「ForTy 2020」は、地球上の土地を10メートル四方のパッチ単位でスキャンし、国連食糧農業機関(FAO)の定義に基づいて6種類のカテゴリに分類します。

分類カテゴリは以下の6つです。原生林、自然再生林、植林、プランテーション林、樹木作物およびアグロフォレストリー、その他土地。「木がある」という一括りの情報が、それぞれ性質の異なる6種類のラベルに分解されます。

モデルの学習と精度検証

マップの構築には、衛星データをAIで解析する手法が使われました。モデルの学習には約170万か所のラベル付きデータが使用されています。データは専門家調査・各国および地域のデータセット・モデルが苦手とした箇所の重点レビューなどから収集されました。

精度検証はIIASAとWRIと共同で実施されました。世界中の9,000か所以上の無作為抽出サイトを対象に検証が行われ、森林タイプの正解率は90%、森林と非森林の判別精度は95%を記録。他のグローバル森林マップを上回る結果となりました。

時系列データと公開方針

「ForTy 2020」は静的なスナップショットではありません。2017年から2025年の年次変化を追う時系列データも合わせて公開されており、自然林がプランテーションに転換されるといった変化を年単位で把握できます。

データはGoogle Earth Engine上でオープンライセンスで公開されており、政府・企業・保全団体・研究者が自由に活用できます。EU森林破壊規制(EUDR)への対応、森林保全ファイナンスの活用先特定などの用途が想定されています。


全体まとめ

Google DeepMindとGoogle Researchは、WRI・IIASAと共同で、地球全土の土地を10メートル単位で6種類の森林・土地利用タイプに分類したグローバルマップ「ForTy 2020」を開発・公開しました。従来の「木があるかどうか」という二択の管理から、原生林・自然再生林・植林・プランテーション・樹木作物・その他土地という6カテゴリの識別へと移行します。モデルの学習には170万か所のラベル付きデータが使用され、9,000か所以上での検証で森林タイプ正解率90%・判別精度95%を記録しました。2017〜2025年の時系列データも同時公開されており、森林タイプの転換を年単位で追跡できます。データはGoogle Earth Engine上でオープンライセンスで提供されています。

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