0733
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No.0733

MapQuestが監視カメラの位置を地図に表示し始めた

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出典:ZDNet

2000年代初頭、MapQuestはアメリカで最も使われていた地図サービスだった。印刷して助手席に置き、曲がり角をひとつひとつ確認しながら使う、あの時代の象徴だ。GoogleマップとiPhoneが登場した2007〜2008年を境に、MapQuestは急速に存在感を失い、やがて「かつてあったもの」として記憶の棚に収まっていった。

それが今、戻ってきた。しかも、監視カメラの位置情報という極めて政治的な領域を引き連れて。

なぜ今、これをやるのか。答えはプラットフォーム競争の非対称性にある。GoogleとAppleは地図サービスの覇者として、政府・自治体・広告主との関係を最大限に慎重に管理しなければならない立場にある。監視インフラの位置情報を可視化するような機能は、法執行機関との摩擦を生む可能性があり、どれだけ公益性を訴えても、大手プラットフォームが踏み込むにはコストが高すぎる。

巨大プラットフォームが「安全・中立・無難」を選ぶほど、その外側に余白が生まれる。MapQuestが狙っているのはその余白だ。

全米でFlock Safetyをはじめとする自動ナンバープレート読み取りカメラが急増している。警察や地方自治体が導入し、通過するすべての車のナンバープレートを記録するこのシステムは、犯罪捜査の文脈で拡大を続けてきた。同時に、一般市民の移動履歴が蓄積されるとして、プライバシー団体が長年批判を続けてきた。社会的な緊張が高まるほど、「どこに何があるかを知りたい」というニーズも高まる。

そこにMapQuestが機能を差し込んだ。

得をするのは、監視インフラの存在を把握したいドライバーとプライバシーを気にする市民だ。黙って見ているのは、全米にカメラを展開するFlock Safety社と、それを導入した地方自治体・警察だろう。MapQuestは「懐かしいサービス」から「大手が絶対にやらないことをやるサービス」へと、静かではなく鮮明に役割を塗り替えている。

テクノロジーが成熟した市場で生き残る方法は、覇者の隙間を正確に見つけることだ。監視インフラの可視化は、その隙間のなかでも際どく、かつ需要が明確なゾーンにある。MapQuestが選んだのは、機能の差別化ではなく、大手が踏めない地雷を先に踏む戦略だ。


3行まとめ

  • MapQuestのアプリが、Flock Safetyを含む複数メーカーの監視カメラの位置を地図上に表示する「サーベイランスレイヤー」機能を追加した
  • 対象は米国内に設置された屋外型ナンバープレート読み取りカメラで、カメラの向きも視野コーンで確認できる
  • データはOpenStreetMapなどのクラウドソース型情報をもとにしているとみられ、MapQuestは取得元を公式には説明していない

※以下は詳細

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Flock Safetyのカメラとは何か

Flock Safetyは、米国の警察や地方自治体が導入している自動ナンバープレート読み取りカメラのメーカーです。道路沿いに設置され、通過する車のナンバープレートをリアルタイムで自動読み取りする仕組みを持ちます。

犯罪捜査への活用が導入の主な理由とされていますが、一方で一般市民の移動履歴が記録・蓄積されることへの懸念から、プライバシー団体による批判が長く続いています。


サーベイランスレイヤーの使い方

MapQuestのアプリでサーベイランスレイヤーを有効にするには、メインナビゲーション画面のレイヤーアイコンをタップし、トグルを操作します。有効にすると、周辺に設置されたカメラの位置が小さな赤い目のアイコンで地図上に表示されます。カメラが向いている方向は視野コーンで確認できます。

現時点でカメラを自動的に迂回するルート設定機能はありませんが、位置を確認したうえでユーザー自身が経路を調整することは可能です。

対応しているカメラのブランドは、Flock Safety、Motorola Solutions、Genetec、Axis Communications、Axon、Leonardo、Neology、Rekor、PlateSmart、Ubicquia、Verkadaの計11ブランドで、いずれも屋外設置型のナンバープレートリーダーです。


データはどこから来ているのか

MapQuestはカメラの位置情報の取得元を公式には明らかにしていません。ただし、OpenStreetMapをはじめとするクラウドソース型の地図データベースが複数オンライン上に存在しており、それらの利用者生成データをもとにしている可能性が指摘されています。

同様の機能としてはWazeアプリがPoliスピードカメラを識別していますが、速度取締カメラや一般的な交通・気象カメラも混在しているため、どれが監視目的のカメラかを判別することが難しい状況です。この点ではMapQuestのサーベイランスレイヤーの方が、監視カメラに特化した表示として整理されています。


全体まとめ

MapQuestは、米国内に設置されたFlock Safetyをはじめとする複数メーカーの屋外型ナンバープレート読み取りカメラの位置情報を地図上で確認できる「サーベイランスレイヤー」機能をアプリに追加しました。カメラの位置と向きを視覚的に確認できる一方、自動迂回ルート機能は現時点では搭載されていません。データの取得元は公式に説明されていませんが、クラウドソース型の地図情報をもとにしているとみられています。かつてターンバイターン型ナビの代名詞だったMapQuestは、GoogleマップやAppleマップが提供しない機能を打ち出すことで、近年ユーザー獲得を進めています。

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